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2019年2月20日に、第50回海外研修航海研修団は無事にイースター島に上陸しました。入国審査編に続き、イースター島上陸後の地上研修の様子をお伝えします。
望星丸にて入国審査を終えた研修学生たちは、通船に乗って次々と上陸してきました。彼らにとって恐らく初めてのイースター島だと思います。高鳴る胸の鼓動が聞こえてきそうです。
通船は8人乗りです。100名を超える研修団が上下船するには、往路3隻~復路5隻をチャーターしてピストン輸送することになります。しかし、風速が10 (m/s)以上になると、安全性の観点から運航が中止されます。ちなみに本日は 8.5 (m/s)でした。
さて、ここからは、研修中のスナップをご紹介します。
今回、研修地として選択したいくつかの国立公園巡りです。まずは、アフ・トンガリキです。島の東側に位置していて、島の中では最大の遺跡です。過去のチリ地震で倒壊した像を、日本のクレーンメーカーが資料に基づいてこのように並べ直したそうです。
1970年に大阪で万国博覧会が開かれたのをご存知でしょうか?その時、モアイ像の頭部が貸し出されることになり、はるばる海を渡って日本にやってきました。さて、それがどれだか探せますか? 前に立つ2つの女性像はモアイではありません。
右から2番目のモアイ像に着目してみてください。他とは違って、頭にプカオが載せられています。モアイ像は、アフ(像の下にある土台のような平らな部分)の上に胴体、頭部、そしてプカオを積んで、最後に目玉を入れてあるのが完成形だそうです。ちなみにプカオは、赤石の産出されるプナ・パウという場所で別途作製されます。
ここ、トンガリキのアフの長さは、ご覧のように100m以上あります。巨大なモアイ像がずらりと並ぶ姿は壮観で、イースターに来た!と実感すると共に迫力満点の眺めです。
望星丸の練習生たちも上陸し、イースター島地上研修を満喫しておりました。
いよいよ昼食です。ここで頂くランチは格別の美味しさです。
広い芝生の上にオーニングを張っただけのスペースですが、ランチタイムになるとテーブルクロスが敷かれ、暖かな料理と美味しいパンの香りが漂いだすと、たちまち高級レストランに見えてきます。
今日のメインは骨つき鶏肉のようです。島では環境保護の意識が高いのですが、まずは料理を食べ残さないことが、私たちにできる一番簡単でしかも誰にでもできる貢献だということを忘れてはなりません。最後まで美味しくいただきましょう。
船内でもそうですが、ピクニックしながらみんなで囲むテーブルはこれまた食欲が増します。自然の中でゆっくりと食べたり語ったりできる、この空間と時間が若者の成長には大切ですね。
研修団を引率する団役員も一緒に、美味しいご飯をいただきます。
お腹を満たした後は、再び研修です。
ここから先は、ラノ・ララクと言う国立公園で、全島内のモアイの製造工場と呼ばれる場所です。イースター島観光には外せないハイライトでしょう。広大なエリアに入場する前に、まずは入り口でレクチャーを受けます。
ここの小高い山をラノ・ララクと言いますが、モアイ像の加工に供する火山岩はこの山から切り出されたものです。
左端の学生の横に矢印マークが見えます。これは、この柵より内側に侵入してはならないという注意喚起です。これを無視すると、国立公園レンジャーが笛を吹いて飛んで来ます。なおさらに悪質だと判断されれば、逮捕されることになりますのでご注意を。
大きなもの、製作途中のもの、他ではあまり見かけない正座をした像、胴体に彫刻が施されているものなどなど、この辺りを散策しながら見学すると、同じように見えるモアイ像も多くの種類があることに気がつきます。
海側を背に山側を見上げてみます。山の中、土の中には作りかけのモアイ像が数多く見つかるでしょう。あまりの大きさに、これがモアイ像だと気づかないほどの大きさのものまであります。それにしても、なぜ? これを作ったのでしょうね。疑問が深まるばかりです。
逆に、丘側から海側を見下ろしてみます。完成したモアイ像が丘を下るように横になって並んでいるのがわかります。これは製品として完成した像が、各村の発注主の元へと出荷される途中なんだそうです。これだけの重量物を、どのようにして運搬したのでしょうね。
次は、ラノ・カウ火山です。
写真の後ろに火山の火口が見えます。ここに水が貯えられてカルデラ湖になっています。写真ではその広さは感じられませんが、とてもスケールが大きくて深く、神秘的な雰囲気を感じることができます。よく見ると火口の壁面にもモアイ像が隠れていたりします。
国立公園の最後はオロンゴです。
後方には、石が平たく積み重ねられたように見えるところがあります。この下は空洞になっていて、ところどころ石積みの壁に穴があります。空洞は鶏を入れておく鶏舎で、穴はその鶏の出し入れに使ったそうです。
なぜニワトリ?の疑問ですが、モアイ職人の賃金は鶏で支払われていたのだとか。鶏何羽と交換にモアイ像を作るということがなされていたので、それに見合う大きさの鶏舎も必要だったそうです。
さて、全ての見学を終えて市内に戻ってまいりました。街中にはお土産物屋さん、レストラン、カフェ、スーパーマーケット、ホテル、銀行などなど、全ての都市機能が整っています。
学生たちは思い思いに好みの柄ゆきのアロハシャツを手にしています。きっといい思い出になることでしょう。イースター島で買ってきたアロハなんて、日本にいるお友達に自慢できるでしょうね。
さて、島内研修を全て終えた研修団が船着場に集合しました。名残惜しいですが、日没までには望星丸に戻らなくてはなりません。
再び通船に乗って、自分たちの望星丸に戻っていきます。精一杯の笑顔で手を振ってくれました。
今日1日の研修が、ことのほか充実していたようです。船に戻ってから研修で見聞したことを題材に、モアイ像の不思議について大いに語り合っていただきたいと思います。
明るいようですが、この時点で時刻は夜の9時前です。ここはチリ領なので、島内使用時間が経度刻みの時差とは若干ズレているので少し違和感がありますね。
全ての研修を終えた研修団が全員無事に望星丸に戻ったところで、雨が降り始めました。なんというタイミングでしょう。
実は、研修団の到着する3日前から大型客船が、イースター島に船客を降ろそうと挑戦していたそうです。しかし、北側にある低気圧の影響で波が高く、諦めてイースター島を離れました。今回、研修団が上陸できたのは、きっと学生諸君の心がけですね。
沖合いに停泊している望星丸の船内を想像してみてください。
なんでラノ・ララクでしか作れなかったの? どうしてトンガリキの右から3番目の像は・・・、と目を輝かせて議論しているのではないでしょうか。深夜まで話は尽きず、賑やかでしょうね。明日はモアイ像作りの体験です。
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